アメリカに抗議するツィメルマン

 5月から6月にかけて、ピアニストのクリスティアン・ツィメルマンは日本でツアー中である。筆者も兵庫県立芸術文化センターでの公演を聴くことができた。彼の演奏については多くの人が書くだろうから、ここでは日本語のメディアが取り上げない話題をとりあげよう。
 ツィメルマンは4月26日、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・ホールで演奏した。プログラム最後の曲は、兵庫県立と同じシマノフスキの作品(ポーランド民謡の主題による変奏曲)だったが、この曲を演奏した後、客席に向かって「今後アメリカでは演奏しない」と宣言したのである。
 この事件は、英語のメディアがこぞって取り上げているが、ここでは地元ロサンゼルス・タイムズの記事リンクを貼っておく。
 http://latimesblogs.latimes.com/culturemonster/2009/04/krystian-zimermans-shocking-walt-disney-concert-hall-debut.html
 アメリカの軍事行動に抗議したほか、グアンタナモ基地のことにも言及したようだ。
 なお、ツィメルマンは、カーネギー・ホールでリサイタルをするためニューヨークに来ていた際、ちょうど同時多発テロに出くわしている。その際、彼はツアーの時はいつもそうなのだが、自分のグランド・ピアノ(スタインウェイ製であろう)を持ち込んできた。そのピアノを、アメリカの航空当局は異臭を理由に没収し破壊してしまった。つい数年前、これはアメリカではテロ対策として容認されたのである。