2008-01-01から1年間の記事一覧

ある音楽事務所の倒産

今年聴きに出かけたコンサートやオペラのことを書いて2008年を締めくくろうかと考えていたら、サブプライム問題がこういうところにも影響を与えているのだな、と改めて痛感させられた出来事が起きてしまった。 イタリアのメゾ・ソプラノ歌手チェチーリア・バ…

2008年に聴いたコンサート(総集編・オーケストラ)

2008年に聴きに出かけたコンサートのうち、オーケストラの演奏を振り返っておく。・シュトゥットガルト放送交響楽団(1/31,フェスティバルホール):ノリントン(音楽監督)による指揮の解釈が披露されたコンサートだった。前半のメンデルスゾーンでソロを弾…

ドゥダメル・イン・広島

ユース・オーケストラでありながら、世界的に見てその知名度はウィーン・フィルにも劣らないといってよいだろう。ベネズエラの「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」が18日に広島で公演を行うというので、新幹線にて出かけた。 チケットの発売開始が10…

「ドン・ジョヴァンニ」のティンパニ奏者

12月13日に新国立劇場でモーツァルト作曲の「ドン・ジョヴァンニ」を観た。当日の模様は東条碩夫さんのブログを参照していただくとして、ここでは個人的に驚いたことを書く。 (東条さんの日記:http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-360.html) …

チェチーリア・バルトリ(続き)

先月に、チェチーリア・バルトリというメゾソプラノ歌手が2年ぶりに来日し、リサイタルが4度開かれるはずが中止になってしまった、という記事を書いた。 彼女はイタリア人だが、マネジメントはスイスのMusicArt Managementという会社が担当しているようだ…

感心できない公演(その2)

昨日は、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による京都公演に行ってきたが、これが一部の曲を除いて現状では今年ベストの出来だったと思っている。そのことは他日まとめるとして、昨日の倍以上の出費をしたが良い印象を持てなかったオペラ公演の…

チェチーリア・バルトリ

音楽を演奏するのは生身の人間である。人間であるがゆえに、いつも万全の体調であるわけはなく、時には演奏できない状態に陥るため、コンサートの延期や中止につながったりする。災害や戦争などの不可抗力により、約束の場所に行かれなくなってしまうことだ…

感心できない公演(その1)

出だし数小節の出来によって、演奏の全体の良しあしが決まると書いているコラムに何度か目にしたことがあるが、そのことを実感させられた演奏会に接する機会があった。 2005年にオープンした兵庫県立芸術文化センターを拠点とする、兵庫芸術文化センター管弦…

来日できないオーケストラ

アメリカのサブプライム問題を嚆矢とする、全世界的な金融(信用)危機がこういうところにも影響を与えた、という話題について書く。 総人口30万人程のアイスランド共和国を拠点に活動するアイスランド交響楽団(Sinfóníuhljómsveit Íslands)が、経済危機を…

来日オーケストラの話題(ベルリン・フィル)

2005年以来3年ぶりに、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が日本で9回の公演を行う。いずれの日のプログラムとも、ドイツまたはオーストリアで活動した作曲家達の作品だけを取り上げる(筆者は11/29の公演を聴く予定)。 あたりまえじゃんと言われそうだ…

長岡京室内アンサンブル(神戸公演)

世界的に存在が知られているにもかかわらず、東京でなかなか演奏会を行わない団体、それが長岡京室内アンサンブルという印象をかねてから持っていた。2005年の「ラ・フォル・ジュルネ」でようやく実演に接することができたが、会場が東京国際フォーラムの小…

ペーター・コンヴィチュニー

世界のオペラ上演において、最も注目を集める演出家を一人あげよと言われれば、私はドイツのペーター・コンヴィチュニーをあげることにためらいはない。 彼の演出したオペラに初めて接したのは、2006年2月のシュトゥットガルト歌劇場による「魔笛」だったが…

リーマン・ショック

9月15日、アメリカの証券会社である「リーマン・ブラザーズ」が、63兆円の負債を抱えて経営が破たんした。このページでとりあげている音楽業界など芸術・文化団体にとって決して他人事ではない事態である。 そのことを気づかせてくれたブログ→http://yakupen…

フランス芸術アカデミーの正会員

来月にウィーン国立歌劇場の日本公演で、ベートーヴェン作曲「フィデリオ」を指揮する予定の小澤征爾が、フランス学士院の一部であるフランス芸術アカデミーの「正会員」に選ばれた。 プレスリリースはこれ↓ http://www.academie-des-beaux-arts.fr/actualit…

バイロイト音楽祭

リヒャルト・ワーグナーの舞台作品(それも「さまよえるオランダ人」以後)や、ベートーヴェンの交響曲第9番以外の作品を上演することがほとんどないバイロイト音楽祭には、これまでワーグナー家の人たちが総監督を務めてきた。そして8月末で引退したウォル…

内田光子の近況

11月から12月にかけて日本で公演を行うベルリン・フィルのサイトを見ていたら、興味深い記事に出会った。このオーケストラの本拠地(フィルハーモニー)における、ピアニスト・イン・レジデンス2008・2009シーズンに内田光子が就任したというのである。http:…

オペラ上演の情勢を知る

11月に来日して公演を行うイアン・ボストリッジのことを調べていたら、思わぬデータベース兼ポータルのサイトを見つけた。「OPERABASE」という名前である。 http://www.operabase.com/index.cgi?lang=en 左の「Performances」をクリックして、Titleに「Eugen…

公演プログラムの価値

東京のオーケストラは無料で配っていることが多いが、日本にやってくる在外団体やアーチストの公演であれば有料で販売していることが多い、それが「プログラム」と呼ばれるものである。これを多く収集している図書館など、自ホールでの公演プログラムのみ収…

国際政治と音楽(ゲルギエフの場合)

12月にロンドン交響楽団と日本公演を実施する予定のワレリー・ゲルギエフは、脂ぎっているという喩えが当てはまる指揮者だ。サンクト・ペテルブルクにあるマリインスキー劇場の総裁をしながら、新しい劇場などの建築に奔走したり、プーチン首相らとのコネク…

北京五輪の閉会式に出たドミンゴ

北京オリンピックの閉会式に、中国の女性歌手とデュエットを組んだ外国人はテノール歌手プラシド・ドミンゴである。彼は今年の1月21日に67歳の誕生日を迎えたが、ここ最近は指揮者としての活動が多いかな、との印象が多いと思われた。 そこへきて興味深いニ…