チェチーリア・バルトリ

 音楽を演奏するのは生身の人間である。人間であるがゆえに、いつも万全の体調であるわけはなく、時には演奏できない状態に陥るため、コンサートの延期や中止につながったりする。災害や戦争などの不可抗力により、約束の場所に行かれなくなってしまうことだってある。さらには、人間であるがゆえに、感情のもつれから約束事が破たんし、最悪の場合は公演中止という形で第三者である観客に迷惑をかけることもある。
 今月、チェチーリア・バルトリというメゾソプラノ歌手が2年ぶりに来日し、リサイタルが4度開かれるはずが中止になってしまったのである。(彼女の公式サイト http://www.ceciliabartolionline.com/
 筆者がコンサート通いを継続するようになって8年目になるが、公演キャンセルに出くわしたのは2002年のチョン・キョンファのリサイタルが中止になって以来2度目である。その時は、都合によりという説明責任を放棄したような理由だったが、今回の理由は東京公演の主催者である東京オペラシティ文化財団によれば、以下のとおりである。
 「10月下旬、チェチーリア・バルトリ氏のマネージメント事務所と日本の招聘事務所との公演条件についての協議不調が当財団に伝えられ、両事務所間で公演実現に向け交渉が続けられて参りましたが、誠に遺憾ながら結果的に来日公演はキャンセルとなりました。」(http://www.operacity.jp/concert/topics/081103.php
 この件については、明日以降もこだわって書いてみる。