フィラデルフィア管弦楽団 対 イーヴォ・ポゴレリッチ(The Philadelphia Orchestra vs. Ivo Pogorelich)

 先月28日(2010年4月)、東京のサントリーホールフィラデルフィア管弦楽団の演奏を聴いた。前半にピアノ独奏で登場するはずだったマルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich)は、娘の出産に立ち会うとかでキャンセルしてしまった。その代わりに出演することになったポゴレリッチの意向により、ショパン作のピアノ協奏曲第2番が演奏された。
 その時のすさまじい模様は、東条碩夫さんがブログで書いておられるので参照いただくとして、ここでは補足かつマニアックなことを2点記しておく。
 http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-724.html

ショパンピアノ協奏曲第2番は、ピアノの演奏にフルートなど管楽器の独奏が絡む場面がよくある。ポゴレリッチが装飾音などを遅いテンポで弾くためか、息が持たないとばかりに出番の演奏を早く終わってしまうところが何箇所かあった。
・第2楽章が終了した後、半休止のうえ第3楽章が演奏されたが、指揮者のシャルル・デュトワ(Charles Dutoit)がピアニストに早く弾くよう促しているそぶりを見せていた。

 ところで、2007年1月にポゴレリッチのリサイタルを聴きに行った後、あるピアニストが私に「ピカソの絵のようだ」と感想を述べていたことが忘れられない。複数の視点による対象の把握と画面上への再構成、というのがピカソ(正確にはキュビスム)の作風の特徴だと理解しているが、東条さんが「作品解体同然の奇抜な演奏」と述べたことと近いのだ。