長岡京室内アンサンブル(神戸公演)

 世界的に存在が知られているにもかかわらず、東京でなかなか演奏会を行わない団体、それが長岡京室内アンサンブルという印象をかねてから持っていた。2005年の「ラ・フォル・ジュルネ」でようやく実演に接することができたが、会場が東京国際フォーラムの小劇場用ともいうべきスペースだったので、音響が良いとはいえず、消化不良に終わってしまった。
 昨年に京都に引っ越し、本拠地でもある長岡京記念文化会館で演奏を聴いたのは9月末のことで、特にチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」に深く感動したのを覚えている。これ以来、京都に住んでいる間は、長岡京室内アンサンブルの公演を「追っかけ」ようと決心した。
 ところが、今年1月の公演(京都府府民ホール)は、公演の存在に気がついた時には完売となってしまい、早速つまずいてしまった。10月3日の公演は、ローソンチケットで見つけ出して無事にチケットを購入し、初めて神戸新聞松方ホールへ行くことができた。
 アンコールを含めたどの曲とも、以前にコンサートで聴いた曲ばかりであるが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(有名なホ短調ではなく、1822年に書かれたニ短調)は、この曲を見直すほどの出来だった。メインのヴィヴァルディでは、楽譜にない装飾や技法(コル・レーニョ奏法とか)を駆使した面白い演奏であったが、合奏力に優れたところのあるこの団体からは、ストレートなアプローチも聴いてみたい気もする。