「ドン・ジョヴァンニ」のティンパニ奏者

 12月13日に新国立劇場モーツァルト作曲の「ドン・ジョヴァンニ」を観た。当日の模様は東条碩夫さんのブログを参照していただくとして、ここでは個人的に驚いたことを書く。
(東条さんの日記:http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-360.html
 当日の指揮者はコンスタンチン・トリンクスというドイツ人だったが、彼は弦楽器のヴィブラートを抑制する「ピリオド奏法」をオーケストラ(東京フィルハーモニー交響楽団)に実行させていた。加えてティンパニ奏者には固いバチを使っての音を出させていた点が印象的だった。
 この作品では、ティンパニの出す音は2つしかないので、太鼓は2つでよい。私の座った2階席からはオーケストラ・ピットが見えるが、ふとティンパニ奏者を見て面白いことに気づいた。彼は、左手側に高い音の出る太鼓を置き、右手側に低い音の出る太鼓を置く「ドイツ式(ヨーロッパ式)」配置を採用する奏者だったのだ。
 日本のオーケストラでは、右側に高い音、左側に低い音の出る太鼓を置く「アメリカ式」配置を採用するティンパニ奏者が多い、との印象を私は持ってきた。ドイツ式を用いる人は新日本フィルN響に在籍しているが、多数派とは思っていなかった。だから、まさか東京フィルで見るとは思わなかったのである。
 プログラムには「塩田拓郎」と奏者の名前が記されていたが、調べてみて納得した。塩田さんはNHK交響楽団ティンパニ奏者を務めた百瀬和紀氏の弟子だった。百瀬氏はウィーンやベルリンに留学した経験があり、ドイツ式で演奏してきたはずである。
(塩田さんのインタビュー記事:http://www.kunitachi.ac.jp/carillon/magazine/0809.htm