音楽の歴史を読む

 大学などの講座で教えられる「音楽史」はドイツ中心史観である、との趣旨を言ってのけたのは石井宏という評論家である。かといって、彼が「反音楽史」(新潮社)のなかで、16世紀から18世紀の音楽家は「イタリア人にあらざれば人にあらず」というのは単純すぎる、ということを教えられる書がある。フランスのロラン・マニュエルが著した「音楽のたのしみ」(4巻・白水社)である。第2次大戦後のフランスで放送されたラジオ番組において、語られた内容をまとめたものである。