山下洋輔の出演した定期演奏会

 先週の金曜日(1月9日)に、兵庫芸術文化センター管弦楽団定期演奏会を聴きに、西宮まで出かけた。
 曲目は、前半が山下洋輔のピアノ協奏曲第3番「エクスプローラー」で、後半がショスタコーヴィチ交響曲第5番作品47だった。
 前半は、山下による自作自演ということになるが、他方で伴奏は狭間美穂のオーケストレーションである。ピアノ・ソロの場面に限らず、彼の技巧を発揮するべく作曲された感があり、その点はラフマニノフ的だと思うが、曲の展開のわかりやすさがあまりない点は現代音楽的である。第1楽章と第3楽章では、オーケストラの奏者による「フリー・プレイ」が要求されるそうだが、このオーケストラの宿命というべきか、東京フィルとの共演CDの音と比べて、おとなしい感じは否めない。
 後半のショスタコーヴィチは、奇数楽章でオーケストラのマイナス面が、偶数楽章でプラス面がそれぞれ出るという、出来不出来の差を感じた。奇数楽章では、指揮者の佐渡裕のこだわりか、楽譜の指示をきっちり守っているのは悪いとは言えないが、面白みに欠けるところが多い(たとえば第1楽章の50小節以後)。他方で、第2楽章では終結直前のクラリネット・ソロに、よろよろする感じで吹かせていたのは、最後の速いテンポに戻っての締めくくりと合わせて好感がもてた。
 全体を通じて、小山理恵子というティンパニストが良い音を出しており、今後とも注目したい。